セルフとパーツの対話(その3) 内側での愛着形成【IFSエッセンス解説】

前回まで書いた「セルフとパーツの対話 その1」「その2」では、対話の中身がどういう流れなのかを説明した。
今回は、「愛着形成」という視点を紹介してみたい。

自身の内側で愛着を形成する
個人的には、ここがIFS/パーツワークの要でもあると思っている。

愛着理論というものがある。
幼少期の育ちの過程で親や養育者との関わりにおいて、どういうタイプの「愛着」を持つかというもの。言葉を変えれば、どういう「絆」や「関係性」を持てるかということでもある。

安定型、回避型、葛藤型、無秩序型という分類がされている。
この幼少期の経験が大人になっても大きな影響を持っていて、人と人との関係に現れてくる。
人との親密な関係を回避したり、そこが無秩序になったりなどなど。

また、その人の中でどういった人間観、世界観を形成するかにも深く関わっている。
愛着が安定的でないと、「世界は危険なところだ」、「私は愛されない」、「私は無価値だ」などなどの信念を持つ可能性もある。
この間、セッションを提供する中で、ほとんどの人が幼少期の経験の中で何かしらのこころの傷を負い、ネガティブな信念を持っているのを感じている。
かくいう、自分自身もそうだ。
これは大きなトラウマを抱えていなくても、必ずと言って良いほどある気がしている。
この辺りの私自身のプロセスについては、こちらを参照してください

私たちは幼少期には戻れないため、親や養育者との愛着形成をやり直すことはできない。
ところが、IFSのプロセスの中ではセルフとパーツの間で愛着形成をすることができるのだ。

傷や痛みを抱えているのは「わたし」の本質ではなく、そういうパーツがいると捉える。
私の全体が痛みを抱えているのではなく、部分が抱えている。
そのパーツの経験や痛み、辛さなどを「わたし」の本質であるセルフがジャッジなしに受け止めていく。
さらには、その辛い経験の中で願っていたことをセルフと共に体験したり、背負った重荷を手放していくこともできる。
その時にパーツに癒しがおとずれ、「わたし」というシステムも調和に向かっていく。

しかも、癒しや深く聴いてもらうということを外部の資源(リソース)に依存しなくてもいい。
私たちの中にいつでもどこでも「在る」セルフという存在につながり、そこからあたたかみと理解、思いやりの質で自分自身に寄り添う。
まさにセルフコンパッション。

そこに大きな癒しのエネルギーがあり、それが自分自身の内側で安定型の愛着形成をしていくことにもなる。

「自分の内面で何が生じようが、どんなパーツがいようが、それをセルフコンパッションで包み込む」セルフにつながっていることで、その奥にある願いや痛みに耳を傾けながら全てを受容していくくことが可能になる。

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