リラックスと子どもの性質に立ち返ること プラムヴィレッジ

タイのプラムヴィレッジ滞在で感じたこと その2

自分はヴィパッサナー瞑想(ゴエンカ師の系統)を中心にこれまでマインドフルネスを深めてきた。昨年、富士山で行われたプラムヴィレッジのマインドフルネスに初めて触れた。
そこで、メッセージとして見聞きしていたのは「リラックスすること」「楽しむこと」だった。
あまり馴染めないなぁ、ゆるいなぁ、お気楽だなぁ、ヴィパッサナーの瞑想と比べると深みがないなぁ、みたいなジャッジがあった。それぞれのアプローチなので優越がどちらかにあるわけでもないのだが。

今回、タイランドのプラムヴィレッジに1週間滞在する中で「リラックス」「楽しむ」ということへの理解がとても深まった感じがある。


僧侶団のメンバーたちは、表情が柔らかくて自然な笑顔が多い気がする

リトリート中はとてもリラックスできる環境がある。美しい自然があり、美味しい食事が提供されて、穏やかな雰囲気の人々が周りにいて、自分の内面を話す場もあり、時間がたっぷりある感じ。
普段の生活の中にいると、出てくるネガティブな反応やストレスというものが、プラムヴィレッジに滞在している間にほとんど出てこない。
自分の場合はそのきっかけの大半はパートナーとの関係性から来るので、今回単身で参加していたことも大きく影響しているけれども。

2日目ぐらいから、なんとなく、出会う人々の中に「子どもの性質」が見えるような気がしてきた。「あぁ、みんなでっかい無邪気な子どもなんだなぁ」という感じ。
それは多分、それぞれがリラックスしているから醸し出されてくるものなのだろう。
そして、僕の中にも警戒感といったものが薄れてくるからそう見えてくるのだと思う。

リトリート後半に各国がパフォーマンスをするお祭り的な機会があった。
日本チームは60名ぐらいいたのだが、その中の有志でどんなパフォーマンスをするかを話し合いながら決めて、組み立てていく。
そのプロセスがでっかい子どもが集ってワイワイ楽しく作りこんでいく感じで、とっても面白くて深かった。

そもそも、その企画づくりの場自体に参加するのに「なんだか、面倒だなぁ」という反応があったのだが、「まぁ、ちょっと様子見ぐらいで行ってみるか」という程度の意識だった。
その場にいるメンバーがポツリポツリと「こんなことをやりたい」「こんなパフォーマンスをやれる」というのを出していく。
最初はクリスタルボールの演奏とコンテンポラリーダンスのソロ演技のアイディア。

クリスタルボールのデモ演奏を聴いていたら、誰かが「お経と相性良さそう」というアイディアを投げる。
「じゃぁ、般若心経を唱えてみる?」
「あ、お坊さんもいるじゃん」
「そこに般若心経の世界をダンスというか身体の動きで表現したら面白いんじゃない?」
そんなアイディアがどんどん出てきて、あれよあれよと言う間に、パフォーマンスの概要が構成されていく。

自分も普段だったら「まぁ、目立たないところで」とか「そもそも参加しなくて良いや、外側でサポートするよ」的な選択をしがちなのだけども、この時は「ダンスチームに入ってみよう」と思えた。自分の中の子どもが素直に動いた感じかな。

「こうしようよ」
「あれも、良いね」
「こんな感じはどう」
「それ面白い!」
みたいな感じで、でっかい子どもたちがはしゃいでいる。
まるで中学や高校の文化祭の現場にいるようだった。
ちなみに、中高生の時は「メンドクセェ」みたいなことを言って、あまり関わっていなかった。なので、今回「楽しさ」「わくわくする感じ」に乗っかってみんなと作り上げていくプロセスが本当に楽しく嬉しかった。
多分、中高生の時に経験したかった質を、この時は素直に楽しめたんだと思う。

自分自身の動きも当初は「こうした方が良い感じなんじゃないか」みたいな「自分の考え」が中心にあったのだけども、徐々に、全体に委ねる、流れに任せる的なスタンスになっていった。
全体の中の私。non-self。

結果として出来上がった日本チームのパフォーマンスはとても素敵なものになった。


このyoutube動画 54分ごろから日本チームのパフォーマンスが始まります。

リラックスしていて、
それぞれの心が解放されていて、
楽しむことにつながっていて、
しかも、全体をケアしている。
その結果として立ち上がってくることの質感を楽しめた。

日本に戻って来て、日々の暮らしの中ではストレスも自分の中のネガティブな反応も変わらずあるのだけども、何かが根底的に違っている気もしている。
この自分の中の変容を大切に味わっていたい。

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