マインドフルに言葉をつむぐ プラムヴィレッジ

2019年12月25日から2020年1月1日まで、タイランドのプラムヴィレッジにてholiday retreat “Together we are one” に参加させてもらった。

そこでの自分の中での気づき、洞察を書いておきたい。


リトリートの様子はコチラのスライドショーで

ひとつは「自分の言葉づかい」について。
滞在して3日目ぐらいに「なんだか自分の口から出てくる言葉の質感が気になるな」という感覚があった。
ダルマシェアリングという30名ぐらいのグループ内で通訳のボランティアもさせてもらった。その現場の初日に何気ない発話なのだけども、自分の中で何か気になる、引っかかる。

通訳をスタートしながらも、意外と皆さん英語の発言に対して笑ったりという反応をしている。頭の中では「あれ、みんな英語分かってんじゃないの?もしや通訳不要だったりして」という声が。
そして、出てきた言葉が「この中で英語がほとんど分からない人ってどのぐらいいますか?」というもの。数名の方は、「ほとんどって言われれば、分かる部分もあるんだけども、まぁ、そうかもなぁ」みたいな感じで戸惑いながらも手を上げてくれて、通訳の必要性が確認できた。
その時に感じたのは、僕の投げかけ方と口調だと、英語が分からない人にとっては「あまり気分が良くない」かも知れないよなぁ、ということ。
そういうフィードバックをもらったわけでもないのだけども、自分の中で何かが気になっていた。
もうひとつは、上のやり取りのすぐ後に「訳を聴いてて、コイツ何言ってんだって感じがあったらサポートしてくださいね」と口から言葉が出てきた。
それを言った後に「なんでそんな言い方するんだろう?」と自分で不思議だった。
意図としては「自分の訳が的確じゃなかったら、修正のサポートをしてくださいね〜」ということなのだけども、表に出てくる言葉は何か「硬くて荒い波動」な印象。

そこで感じたのは、自分の在り方や言葉づかいとそれらがもたらすインパクトに自覚的あるいはマインドフルでありたいな、と。


タイの法話:日本語訳がついてます

タイ(ティク・ナット・ハン氏の呼称:先生という意味)の話し方を動画で見てみて欲しい。ものすごくゆっくりだし、落ち着きとスペースがある。想像するに、言葉を話すという点でもそこに常に気づきの意識があって、マインドフルに発話をしているのだろう。

この時は、その自分の発話の奥に何があるのかまでは見えていなかったけれども、マインドフルであろうという意図を持てた。

不思議なことに、プラムヴィレッジの場全体が醸し出す穏やかでピースフルな雰囲気&空気感から来るのか、意識しなくても、自然と自分の中が落ち着いてきて、言葉の荒さというものを感じなくなっていった。
ちなみに、あの場では住んでいる犬すらも穏やかでリラックスしている。

今、これをまとめるに当たって、自分の中を少し深く観てみる。
言葉づかいが荒い感じがするのは、そこに「焦りと緊張」があった。英語はある程度は分かるんだけども、流暢に通訳をできるほどではないと思っていた。特に、日→英はハードルが高い印象だった(やってみたら、そこそこできた感じはあるけど)。
自分の中に余裕がないと「パッと必要事項を伝えなきゃ」と焦りが出る。タイミング&スピード重視。「ヤヴェ、今すぐに言っとかなきゃ」という感じで言葉を選ぶような余裕はなく、取り敢えずでしゃべる。丁寧さは脇に置き、スパッと伝えるみたいな。

それと同時に、自分を守る感じもあるな。「通訳が的確ではない」と責められないように、批判されないように、事前にガードを張っていたみたい。「荒い言葉」や何となく前のめりな感じを出すことで、相手を牽制するような感じがあるかな。

今思うと、プラムヴィレッジの緩やかな中では守る必要が薄れていくのだ。
早朝に起きて、新鮮な空気の中で歩く瞑想をし、美味しい食事をマインドフルに食べ、みんなで楽しく歌い、ユーモアたっぷりな法話を聴き、メンバーで感じたことをシェアする。昼食の後にはトータルリラクゼーションという極楽昼寝タイムまでプログラムになっている。
「今ここで幸せである」ということ、それにつながるプラクティス。

数日過ごす中で、自分もリラックスしてくるし、現れとしての言葉に気にならなくなっていった。
何かを成し遂げるとか、やるという必要もなく、ただリラックスして、楽しんで、笑顔でいること。それがあることで、自分の中のガードや緊張感が確実に緩むのだろう。

ということは、プラムヴィレッジという場にいたから、できたことなのか?という疑問も出てくる。
それはそれであると思うけれども、日常のプラクティス・実践として、リラックスしていること、自分の口から出てくる言葉、表現、そこにあるエネルギーにマインドフルでありたいと思う。

今回の大きな収穫は、「普段の生活の中で常時マインドフルでいること、それ自体がプラクティス」という視点のより深い理解。
タイが出ているインタビュー動画で「あなたは、日常的に1時間とか2時間とか瞑想をする時間を取るのですか?」という趣旨の質問に「いいえ No」と即答。そして、一呼吸置いて「一瞬一瞬です every moment」とサラリと言っていた。衝撃的だった。
(その動画はコチラ:English only  “Oprah Winfrey talks with Thich Nhat Hanh Excerpt – Powerful”)

それがどういうことなのかということを、頭では理解していたつもりだけども、より体感的にキャッチできた感覚がある。
この意識&プラクティスと共に暮らすのは、なかなか面白い経験になりそうだ。