NVC+実践練習会と「在り方」を学ぶこと

今「NVC+ オンライン実践練習会」というものを展開し始めている。
この間、NVC関連の講座をやってみて思うのは「日常で触れて学び続ける」ということがないと「そう言えば、そんなのもあったよね」と忘れ去られてしまう可能性が高いということ。

無理もない。みんな日々の暮らしや仕事で忙しくしていて、NVC的なものに触れる機会がなければ、自然と慣れているモードに戻っていく。
でも、どこか頭の隅で覚えていて、何かの機会に立ち返ることもある。
せっかく時間とエネルギーを使って学びに参加してくれる方々に、「学び続ける仕組み」を提供できたらな、と思っていた。

新しいことを学び、それが暮らしの中で定着するのに、以下の要素が大切だと思っている。
*「知的に理解すること」
*「日常の中で意識してみて、思い切って実践してみること」
*「意識したり実践したりして、どうだったかを振り返ること」
*「仲間がいて、経験をシェアし合えること」

これを全て含めつつ、そこに「気楽さ」と「継続性」を加えた仕組み。
どうしたら良いかなぁ、と思っていた時に手元にある500ページある分厚い本が目に止まった。

NVC Toolkit for Facilitators by Raj Gill, Lucy Leu, and Judi Morin (2009).

この本は、マウイ島であったNVCのIIT(10日間の国際集中合宿)に参加した際に購入したもの。
「何かオススメの本はないか?」と他の参加者に聴いた時に、「この本はすごいリソース(資源)だよ」と教えてもらった。
何度かペラペラとめくってはみたし、活用しているワークもあるけど、部分的な使い方だった。

この本には18のキーコンセプト(鍵となるポイント)とそれにまつわる様々なワークが収録されている。
本をベースにして、月1回ぐらいオンラインでつないでテーマを深めていく。
自分自身が持っている他の資料やNVC以外の知恵と身体に入っている経験もたくさんあるので、それも活用しつつ。
18のテーマなので、月1回だったら1年半かかる。
意外とあっという間かも知れないし、どんな展開になるか楽しみだ。

現在、午前のチームと夜のチームと二つのグループで場を持っている。
午前に出れなかった人が夜に出たりもありつつ。

初回は「意図/Intention」がテーマ。

参加者からの質問に対して、書いたこと(一部編集)を以下にシェア。
質問は「意図に気付いて、その後にどうするのか?」といった趣旨のこと。
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「ニーズ」と「意図」の違いから考えてみましょうか。

「ニーズ」はいのちのエネルギーそのもの。人間が普遍的に持っている価値や大切にしたいこと、その意味で抽象的ですね。質感も伴います。

「意図」はストラテジー寄りで、「何をどうしたいか?」という具体性を持っています。
「スタッフのモチベーションを下げたくない」というのも、具体性がありますよね。

で、そもそも何で「意図 intention」に意識を向けるかというと、意図には無意識のものもあれば、意識的にセットできるものもあるからです。
意図につながった上で、意図を選択し直すこともできます。
そこから意識的/意図的に選択するというアクションへ。

なので、オススメとしては、まず自分の意図につながり、それを吟味することかなぁ、と。
今、自分はどんな意図を持っているのか?
その意図を持ち続けたいのか、違う意図を持って世界や人の前に現れたいのか?

「スタッフのモチベーションを下げたくない」
という意図をまずはじっくり味わってみてください。
それはYさんが生きたい質のニーズ(例えば「つながり」「仲間やパートナーシップ」)に近い質でしょうか?

あるいは、「強要/相手を変えたい/自分の思い通りにしたい」というエネルギーからきているでしょうか?

僕の中にも相手を操作したいとか、思い通りにしたいという意図が無意識層にビッチリあるなぁ、という感じがしています。
そこから「嫌味」を言ったり、「罪悪感を抱かせる作戦」が自動で出てきます。。。まさに自動操縦状態ですね。

とっさの際に「自分のニーズは何か?」と問うよりも、「自分の意図は何か?」と問う方がわかりやすい場合もある気がしています。
意図につながった上で、その奥にあるニーズにも意識を向けてみる。
そんなことを日常の中で実験してみたいな、と思う今日この頃です。
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参加メンバーが日常の中で「意図」を意識したり、そこにつながってみると、どんな変化や気づきがあるのか、とても興味がある。

自分を振り返ると「あ、今の(反射的に出てきた)発言にはどんな意図があったんだ?」と思い返したり、「んん、これってどんな意図で言おうとしているんだ?」と反応的に返しそうなところで立ち止まったり(まだまだ頻度は少ないけど)。
少し意識を向けるだけで、自分の内側にスペースができる感じがある。

NVCの文脈では「口を開く前に、自分の意図とつながる(その発言はどんな意図で言おうとしているのか)」とも言われている。

問われているのは「どんな意図を持って、どんな在り方で生きていたいか?」ということ。
NVCは表面的なコミュニケーションスキルを学ぶのではなく、「在り方」だ、と言われる根幹だと感じる。