留学生主体の大学生向けのマインドフルネス講座
そこで生じていたことをNVC(非暴力コミュニケーション)とマインドフルネスの視点から記録しておこう。
当日は雨。どんな場になるか、とにかく自分の中ではかなり楽しみだった。
ワクワクしながら足取り軽く大学へ向かう。
80席ほどある教室に着くと、けっこうたくさん学生がいる。
40名以上はいるだろうか。
授業に際して、自分の中の意図としては、何かを強制して学ばせるというのではなく、「興味があったり、やってみたかったらやってみて欲しい」というスタンスを取るというのが明確にあった。
直前の打ち合わせで、友人に「場合によったら、やりたい人だけ残って、帰りたい人は帰って良いよ、というのはアリかな?」「おお~、それもアリかもねぇ。うんうん、好きなようにやってもらって大丈夫だよ」というやり取りをしていた。
ちょうど前日に高校の体育の授業を遠巻きに眺める機会があった。
先生が号令を出し、生徒たちが「それに従い」授業が展開されていく。
ものすごくかったるそうに動いている子、ピッピッという鋭い笛の音に反応して動いている/動かされている子たち。自分も気分が乗らない時はやりたくなかったよな〜と思いつつ。
こういう中で「従う」「やらされる」みたいなモードが形成されちゃうのかなぁ、と感じていた。
各生徒がやりたいことにやりたいだけ打込めたらどれだけの創造性が発揮されるのだろうか?
そんなことも考えていた。
「その人の意に、ニーズに反して何かをさせる、やめさせることが暴力」というのがNVCの発想にある。非暴力と言ったときに、「その人のニーズを尊重する」というのが基本スタンスにもなってくる。
大学生向けの授業も彼女たちのニーズを尊重して進めるという意識でいた。
ティクナットハンの “Peace is Every Step” を昨年読んでいるクラスだったので、「今日はこの本の中に書いてあることを実際にやってみましょう」という導入からスタート。
「いろいろなことを『やってみて』とお願いするけれども、やりたくなかったらやらないでOKです」とも伝える。
手始めに立ち上がって、教室の中を動き回ってください。
ペアを作って「24時間以内に楽しかったこと」を相手とシェアしてみてと伝える。
教室内で学生が動き回り、楽しい雰囲気の中で授業スタートというイメージでいたが、あれあれ、多くの学生さんたちは団子状に固まっていてあまり動かない。。。
そもそもペアを作るという事自体が機能していない。
何が始まるのかよく分からないのか、言語の壁があってあまり伝わっていないのか、恥ずかしい感じがあるのか、授業のスタイルとしてびっくりしているのか、こちらにも分からないが「やってみよう」という感じが大半から伝わってこない。一部の子たちは周りの様子を見つつもやってみている。
うーむ、なるほど、と思いつつ、では思いっきり伸びをして身体の感覚に注意を向けてみて、とかいくつか場を作っていくことを意図してお願いをしてみるが、なかなか反応が良くない。
教室の外で展開されている水球の様子(隣の高校)が気になっちゃう子、スマホをいじっている子、ポカンとしている子などなど。
「こうしてみて~」というお願いを動き回りながら大きな声で伝えていたら、声がかすれてきた。
うーむ、どうしたものか?
自分とつながって、正直に気持ちを表現してみた。
「けっこう遠くからここへ来て、本当にこの本の中身、マインドフルネスに関してシェアしたい気持ちがあるんだよね。なので、やりたくないとか興味がないなら、本当に帰って良いんだよ。残るならお願いしていることをやってみて欲しいんだ。それを自分で選んで欲しい。1分時間を取るから帰りたい人はどうぞ帰ってください」と。
さて、どんな反応があるかな、帰りたい人は帰るだろう。残った人とワークショップ的にやってみよう。
と思っていたが、みんな座っていて動かない。
あれれ?え、でも一部の人たちは全くやる気もないんだよねぇ。
ということで、「え、みんなこれからの時間を使って、この本の中身をやってみたいの?やりたくなかったら、帰って良いんだよ。やらないということを選ぶならむしろ帰って欲しい。自分の時間を有効に使って」と再度伝えてみると、数人が立ち上がって帰り支度を始めた。
すると、「じゃぁ、私も」みたいな感じで、ぞろぞろと帰り始めた。
残ってやってみよう、という学生たちは13名ほど。
4分の1ぐらいの人たちが残ってくれたので、仕切り直して、ワークショップ的に授業を展開し始めた。