呼吸とレーズン

大学にて留学生向けのマインドフルネス講座(その1はコチラ)

どこかで「誰も残らなかったらどうしよう」という不安も少しだけあったので、13名が残ってくれたことは素直に嬉しかった。

今回は「体験」を重視したかったので、呼吸を見つめるワークに入る。
普段外界に向きっぱなしな意識。誰が何を言っているか、スマホにどんな情報が届いているか、自分がどう見られるかなどなど。それによって、頭が一杯な状態。
それを自分の呼吸をただただ見つめる、観察するというモードに切り替える。

「思考が動き始めたら、それに気づいて、また呼吸に戻ってね」
という言葉を時々かけながら、ただただ、自分の呼吸を見つめる時間。

残ってくれたメンバーだからすごく意欲的かというと、そうでもなく、なぜか小さな声で話をしていたりする。。。
まぁ、いいか、と思いつつ、とにかく声かけをしながら呼吸に意識を向けてもらう。
すると、徐々にメンバー全体が静まってくる感じもあった。

その後に、レーズンを3粒ずつ渡す。
それをただただ見つめてもらった。観察する。


普段はあまり気にとめずにパッと食べてしまうレーズン3粒。
ひとつひとつの違い、形や色、匂いなどを深く見てもらう。
深く観る。表面的には見えないものも観る。

レーズンが育った農場などにも想像を飛ばしてみて欲しいと伝える。
これが育つのにどんな要素が必要だったかも想像してと伝えてみる。
水、太陽の光、土、栄養素、農家、流通に携わる人、販売に携わる人などなど。
レーズン3粒は、切り離されてそれだけで存在しているのではない。

その後に、4分間ぐらいで、じっくりとレーズンを味わってもらった。
甘いだけではない複雑な味覚。少し渋さというか苦さのようなものも残る。
飲み込んでしまっても、口の中に味は残っている。
それはレーズン?
レーズンが自分の身体に入る。少ししたら消化吸収される。
それはレーズン?

マインドフルネスに関して、話として、情報として伝えたいことは山ほどある。
けれども、まずは体感、気づきはそれぞれに任せる流れにしてみた。

「レーズンをこんなにじっくり味わったことはなかった。すごく新鮮で面白い経験でした」といった感想ももらえた。

この日の経験が何かの気づきのきっかけになったら嬉しいな。