マインドフルネス・リトリートでの学びとインスピレーション

ティク・ナット・ハン師の書籍は10年ぐらい前からちょこちょこと読んでいた。ヴィパッサナー瞑想の経験もあるから語られていることの理解はそこそこしているつもりがある。
GWに富士山で開催されたプラムヴィレッジ・マインドフルネス・リトリートに参加することができた。

実際に僧侶の方々と直に接して話を聴いて、4泊を共に過ごして、学びの時間を共にする中で何かがジワジワと沁みてきている感じがある。

【日常の一瞬一瞬にマインドフルであること】
2つの気づきを書いてみる。

ひとつは、喜びや幸せにいつでもつながっていること。
それは、「お金や物があるから」「これを経験したから」といった条件付きではない質のもの。
ブラザー&シスター(僧侶と尼僧)たちは、ほぼ常時自然な笑顔だった。どっしりと今にいて、落ち着いていて、微笑みを絶やさない。

自分自身は自然に近いところで暮らしているので、日々の空気感や自然の変化に気付き、それを味わい歓びにつながることは「ほぼいつも」という感じがある。
最近は1歳児も一緒に暮らしているので、歓びには事欠かない。
けれども、それを表現するといったことにそこまで意識がない。微笑むというのも、実は苦手だったりする(特に家の中で)。
それが現状の自分だけども、どう在りたいかを意識して日々実践をしてみようと思う。

もうひとつは、日常の所作の全てが瞑想になり得るということ。
坐る、歩く、食べる、歌う、休息する、お茶を飲む、歯を磨く、などなど。
「お茶を飲むときは、心を込めてお茶を飲み、それを味わう。」
「皿洗いをする時は他のことを考えたりせずに、皿洗いをする。」

時間を取ってしっかり坐ることも大切だけども、日常の営みが瞑想であったらどんな感じか?
この積み重ねが自分とつながる力を育み、集中や気づきを高め、「刺激を受けたら即反応する」というパタンにスペースをもたらしてくれる。スペースが生まれれば、そこから「どう対応するかの選択」が自分の中にある。

NVCの文脈でもここはすごく大切なところ。自分につながるという点でこのマインドフルネスの視点と実践はとても有効だと感じている。

個人的には「飛び抜けた集中力」と「自分の感覚を観察するテクニック」としてはヴィパッサナー瞑想で10日間坐ることをお勧めしたい。次元が違う体験だし、マインドフルネスへの理解も深まる。

【リトリートで得た実践の機会】
全体に紹介された「5つのマインドフルネストレーニング」は「五戒」を日常の中で意識する、実践する形に落とし込んである。
「いのちを敬う」「真の幸福」「真実の愛」「愛をこめて話し、深く聴く」「心と体の健康と癒し」
これをやってみたら、どんな経験になるのか?
そんな興味もあって、トレーニングに申し込んでみた。


実践としては、日々5つのテキストを読みながら、自分自身でそれに向き合うということ。
「あれをしてはダメ」「これをしなきゃダメ」という縛りはなく、「ここまでいったら認定される」という制度でもなく、テキストを通して自分の在り方を見つめていくプロセス。

ちなみに、申し込むといただけるダルマネームは「輕風心 (Gentle Breeze of the Heart)」。

【サンガの大切さ】
マインドフルネスを実践するさいに「サンガ」の大切さが言われている。それは一緒に学び実践しサポートし合うコミュニティ。
日本各地に20ぐらいのサンガがあるという。

今回の180人規模のリトリートも各地のサンガメンバーが協力し合って実施されていた。この規模の企画を毎年やるエネルギーと意志、忍耐などにはシンプルに「すごいな〜」と感じてしまう。
ある人は「NVCのコミュニティは兄弟とか同志って感じだけど、サンガはなんか家族って感じなんだよなぁ」とつぶやいていた。
1歳2ヶ月になる娘も一緒に参加していたのだけども「次に会う時は大きくなってるだろうね〜」なんてことを数名から言っていただいた。正にマインドフルネスでつながる大きな家族の雰囲気がある。

DOM(Day of Mindfulness/マインドフルネスの日) というものが多くのサンガで設けられていて、そこで坐る瞑想、歩く瞑想、食べる瞑想、ダルマシェアリング(今感じていることや日常の中での苦悩や喜びなどをシェアする場)などをするらしい。
こうして集合的な力で日常の中にマインドフルネスを落とし込んでいくということだ。
この実践の継続性というのは、これまでの習慣に流されず、新たな習慣を確立する鍵となる。

今回の経験からより明確になったのがマインドフルネスとNVCとサイエンズを融合したサンガを作っていきたいということ。
しかも地域に根ざしていて、暮らしの部分=子育てや経済、こころのケアなどなども軽やかにシェアしていけるもの。

「自分の望む質を生きる」ということ。
その新たな実験をしていこう。

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【記事内の写真は「wind of smile〜微笑みの風」というサンガからお借りしました=感謝】