浄化について

IIT@マウイで興味深かったトピックのひとつが「トラウマ」だった。
世代を越えて継承されるトラウマ。
無意識下にしまわれている「聖なる誓い sacred vow」。
こういった自分自身ではなかなか手に負えない、処理できないものを人は抱えているということが理解できた。

世代を越えてまでやってくるとなると、なかなか手強いなと思えてしまう。

一方で、潜在意識下に深く根ざしている世代を越えたトラウマの話を聞きながら、ゴエンカ師が指導するヴィパッサナー瞑想のことを思っていた。

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この瞑想はこころの浄化が大きな目的になっている。
講話の中で次のような説明がなされている。「世の中にある様々な手法で表面的なこころの汚れは浄化できる。しかし、表面的なところだけの浄化では、根本は変わらない。ヴィパッサナー瞑想を修行することで潜在意識下にある強固なサンカーラ(種)の浄化も可能になる。修行を続けていくと、深く深く根ざしたサンカーラが揺り動かされ浮き上がり浄化される。」
ここで言われている潜在意識下に深く根ざしているサンカーラと世代を越えたトラウマが僕の中でつながった。厄介だけども、浄化できる。

説明やアプローチは違えども、本質的には同じことを取り扱っていると思う。
「これが正しい」という手法も無いと思うので、各自が自分に合ったアプローチで対応したら良いと思っている。

個人的には徹底して身体の感覚と自分自身に向き合うヴィパッサナー瞑想の10日間コースはお勧めだ。これは修行なのだが、そのぐらいの密度があって初めて生じる浄化があると思っている。インスタントな手法ではナカナカ深いところまで到達はできない気がする。あくまで僕の経験上の話、実際にどうかは分からないけど。

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もう一つ、聖なる誓いのことを聞きながら「インナーメッセージ」というコンセプトを思い浮かべていた。再決断療法という手法の中で鍵となっているもので、幼少期の経験から強く思い込み、自分の中に「こういうものなのだ」と取り込んでしまったメッセージ。これも深く根ざしているので、気付いていない場合もあるが、幼少期の経験とリンクしていることが多いらしい。

再決断療法の中では、そのメッセージを取り込んでしまった場面を思い出しながら、そこにある感情に注目していく。そして、どんなことを言いたかったのか、して欲しかったのかを明確にしていく。
NVCの枠組みでこれを見ると、インナーメッセージを取り込んだ時の、感情とニーズを把握し、そこに寄り添って深く共感することが大切なのだということが分かる。

ヴィパッサナーは一人でする浄化。
相手がいて共感を受けたり与えたりする中でなされる浄化。
とにかく、溜め込んでしまったものを浄化し、手放し、身軽になっていくプロセス。
仕事を辞めたばかりの3年前と比べると、意識の軽さ、囚われの無さ、満たされた感じが格段に高いと感じている。
暮らしている環境にもかなり助けられている。

今の社会はお金中心、自分の生き残りに一生懸命にならざるを得ない状況、つながりではなく分断が蔓延している。その中では、浄化どころか逆に汚濁や無知が蓄積されてしまう。

現時点で必要な浄化を自分に合ったアプリーチでどんどんすすめながら、余計なものを溜め込まないで済む関係性やライフスタイル、自分の在り方を構築していくことがこころの平安につながっていくだろう。

【参考図書】
ヴィパッサナー瞑想
ウィリアム・ハート(1999)『ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想入門―豊かな人生の技法』春秋社

再決断療法
倉成 央(2013)『“この自信”を持てばうまくいく 努力がすぐに結果になるたった1つのルール』大和出版