田んぼで出会う深い感覚

今年は意識的に「お金のための労働」を減らしている。
その代わりに「食べるための労働」を増やしている。田畑に出る時間が増えた。

この間、田んぼは常に「誰か」が関わってやっていた。
今年は、3枚で合計1反3畝ぐらいかな?をひとりで対応することに。
それほどの広さではないけれども、機械は最小限の利用なので、何かと手作業が増える。
「面倒くさい」「手間が増えた」「やってられない」
という反応が出てくるのが一般的なのだろうか。

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「自然に働きかけることで、自然から働きかけ返される」
こんなフレーズがある。
正にその通りだと思う。手間が増え、田んぼに関わる時間が増えたことで、働きかけ返される密度が濃くなった。そして、そこに歓びがある。

田植えをしていて感じたこと。
1週間ぐらいかけて、じっくり田植えをしたのだが、本当に満たされた時間だった。
裸足で田んぼに入ると伝わってくる、冷たい水、ソフトな泥、生き物達の存在感。風の感じ、日照の強さの変化や天候の変化。
そして、静寂と同時に聞こえてくる生き物達の声。
生えている雑草を泥に埋め込むと、それがやがて養分となり、イネのいのちとなって巡っていく。僕が田んぼに立つことで、稲が育ち、そしてその米を食べて僕が育つ。そうして巡っていく。

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ただ、それだけのことなのだが、自分が自然の一部であること、そこにつながっていること、こうして生かされていること、いのちの存在。そういったものをリアルに深く感じ、自分のこころが歓びで満たされていく。

「これで良いんだよな〜」とシンプルに感じられる。

今回は3日間で5人の友人達が田植えに加勢に来てくれた。
こうして場をヒラクことで、いのちに寄り添う経験をしてもらえたら嬉しい限り。
これまでは、この営みをイベント企画にしていたけれども、今回はギフトという位置づけに自分の中でしてみた。
加勢してくれると、作業がはかどって実際に助かる面もある。みんなが何かに気付くこと自体が僕にとってのギフトでもある。

「いやぁ、カエルが一杯いましたねぇ。なんか、「あ、おるなぁ」って思っただけで、安心しました」と参加者のひとりが語ってくれたのが印象的だった。
ただそれだけのことなのだけど、自然とつながるって、そういうことだよなぁ、となんとも嬉しい感じだった。

以下、加勢に来てくれたKさんの感想をシェアします。

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手植の田んぼ体験、赤村のゆっくり村にて。
子供のように裸足で入る、ぬるぬるじゅわーと、
ずぶずぶっずぶ、足が吸い込まれる〰
ひやっと水の肌感、段々、ほんわか温かくなったり、
たくさんの生き物が泳いでいる。

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一粒からたーっくさんの根をはやし、すーと葉を伸ばした稲を一つ一つ、たてよこたてよこ植えていく。
屈んだ腰を時々伸ばすと、いろいろな鳥の歌声が交響曲のように流れて、何て贅沢な時間。
いつの間にか足の裏は地球に吸いつけられ、大地と一体感。なんとも言えず、ありがとう❤
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この営みと歓びは多くの人に体感してもらいたいな、と思う。
もちろん、田植え以外の部分でも同じような感覚は得られると思う。