電気柵と山のこと

去年は自給の用の米を8割方イノシシが喰ってしまった。
共存や分かち合いは大事だけども、これにはちょっと参ってしまった。

ここ3年程でイノシシの被害が多くなってきている。
どうせ、対策をしてもやられるのだ、といった弱気な想いもあり、かなり憂鬱だった。

ところが、春先に農の先輩から「電気柵、使っていないのがあるから貸しましょうか」と言っていただき、拝借できることに。

お盆前に電気柵をグルリと田んぼに張り巡らせた。
支柱が足りなかったのだが、それは女竹で代用。
竹は伝導性があるので、そのまま線をつなぐと漏電してしまい、効果が薄れる。
「パッカーをかませれば良い」というヒントをもらっていざ工作&作業。

ほぼ丸1日かかって作業は完了。
その後、確実に効果があるようでイノシシの被害は今のところ無し。
しかしながら、見回りと漏電チェックは欠かせない。

でも、電気柵があることで、僕の心理的ストレスは激減している。
去年までは、この時期に田んぼを見に行くのが本当に毎回不安だった。
「もしややられているのでは?」と。そして、実際に侵入されていた時のやるせなさったらない。
そんな不安&ストレスがない今シーズン。

後1ヶ月ほどで収穫になる。
今時期は山に栗もあるので、田んぼには来ないでね、と願いつつ。

以前は電気柵で田畑を囲うことになんだか抵抗感があった。
自然と田畑、自分と田畑を断絶してしまう印象、作業性が落ちること、囲い込みのイメージなどなど。けれども、そんなことを言ってられない状況になってきている。
集落の中でも電気柵やネットがドンドン増えていく。

山に雑木があって、実の成る樹々があれば、こういった心配もなくなり、獣とも共存できるのだろうに、と思いつつ。
栗の苗木でも育てて山に植えていこうか、などと考えている。
何もしないでいても、状況は年を追うごとにどんどん悪くなりそうだし。